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【出逢い】

  • 5 時間前
  • 読了時間: 4分

「 過ごした時間の長さ 」= 「 愛の大きさ 」 くるみと出逢うまで私は、そう思っていました。 でも今は、

必ずしもそうではないと感じています。

なぜなら—— くるみの16年5ヶ月という犬生の中で、

私と過ごした時間は、

わずか3年間だったからです。



決して長くはない時間。

けれどその3年間は、 10年、15年にも感じれるほど、 濃く、深く、私の中に残っています。 もちろん、

長い時間を共に歩んできた日々には、

その積み重ねにしか生まれない深さがあります。 でも、 大切なのは長さではなく、 その時間をどう重ねるのか。 そう私に教えてくれた くるみとの出逢いのお話です。


************************************************* くるみと出逢う、約一か月前。



愛犬で、

親友のような存在だった

チャーたんが旅立ちました。

けれどチャーたんの親の、

テリー、メイに続き 私はその最期に立ち会う事ができなかったのです。

心の中には、

拭いきれない「後悔」が残り続けていました。



そばにいられたはずの時間。

きちんと向き合えたかもしれない日々。



整理できない気持ちのまま、

最期に間に合わなかったという事実が

胸の奥に沈んでいて、

その気持ちにどこか蓋をするようにして、

日々をやり過ごしていました。

そんなある日のこと。



何気なくつけていたテレビの画面に、

一匹のフレンチブルドッグが映りました。



「なんだろう、このモチモチとしたフォルム……」



画面の中で揺れる、

独特な丸みを帯びたシルエット。

そして、こぼれんばかりの大きなお目目。

その、なんとも言えない愛らしさに、

私は思わずクスッと笑っていました。



重く沈んでいたはずの心が、

ほんの一瞬、ふわりと軽くなる。



心の隙間に小さな灯がさしこんで、

固まっていた何かが、

じわりと、溶け出していくような感覚。



*************************************************

それから少しして、 春が終わり、夏の香りがし始めた頃。

当時、

パパとはまだ今のような関係になる前のことです。 お互いの話をする中で、

彼から

「犬を飼っているんだ」

と聞きました。 「どんな子なの?」と聞くと、 「フレンチブルドッグの女の子だよ」と。

その言葉に、胸が跳ねました。 テレビで見た、モチモチのあの子。 こんなに早く、本物の「フレンチブルドッグ」に会えるなんて。 思ってもみなかった偶然が嬉しくて、 夢中で話をしていた気がします。

しばらくして、初めて家を訪ねる日。 楽しみな気持ちの裏側に、

小さな緊張が消えませんでした。

「私を受け入れてくれるだろうか」

そんな不安を抱えながら、

そっと部屋のドアを開けました。

すると——。

遠くからトコトコと駆けてきたくるみが、

私の匂いをクンクンと確かめ、

まん丸な瞳でじっと私を見つめました。

……沈黙は、一瞬。

くるみはお尻をぷりぷりと振り乱し、 全身で「ようこそ!」と歓迎してくれたのです。


その一瞬で

心をグッとつかまれたような感覚でした。


当時、くるみは13歳。 けれど、そんな年齢を感じさせないほどパワフル。

チワワしか飼ったことのなかった私にとって、 彼女の「遊んで!」という突進は、 思わずよろけてしまうほどの力強さでした。

そのわんぱくな体当たりに驚きながらも、 腕に伝わる確かな体温に、 私の強張っていた心は一気にほどけていきました。

久しぶりに触れた、ぬくもり。 それは胸の奥をじんわりと温めてくれる。 けれど同時に、

旅立った実家のあの子たちの姿が思い浮かんだ。

「もうしばらくは、犬と深く関わることはない」

そう思っていたはずなのに。

拭えない後悔を抱えたまま、 あの日から一歩も動けずにいた私。 そんな私に、 くるみは、迷いのない無垢な気持ちで、 ためらうことなく飛び込んできてくれました。



まるで、 何もかも知っていて、 「もう大丈夫だよ。」

っと、言ってくれたような。

その暖かさに触れたとき、 ずっと止まっていた私の時間は、 静かに、

けれど確かに動き始めたのかもしれません。

あの子たちが繋いでくれたのかもしれない、

このぬくもり。



それが、私とくるみの出逢いだったのです。



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